2019 年の「築城 400 年」を前に、明石公園の整備に関して兵庫県は専門家による幾つかの計画策定を進めました。一つは「城と緑の景観計画」(2017/7)です。服部保、中瀬勲、村上裕道各氏ら 7 人の委員が 4 回の委員会でまとめたものです。
「明石公園は、明石城の本丸や中央の石垣前等の樹木が成長・繁茂し、明石城の魅力である全国有数と言われる東西 380m に連なる石垣や櫓の眺望が損なわれています。また、石垣の隙間に樹木の根が入り込み、台風や地震時に石垣を倒壊させる恐れがあります。そこで、樹木の除伐・剪定により、明石城の景観を城と緑の調和がとれたものにすることを目的とし、本計画を策定しました」と、計画策定の目的が明記されています。いわゆる「石垣より 5m以内の樹木を原則伐採する」ことも明記され、後に問題になります。※巻末資料に計画の一部抜粋
こうした計画に基づき、文化財保護法による石垣、景観除伐許可を文化庁に 8 回にわたって申請して、樹木の伐採が始まりました。
2018 年度から 2021 年度までに 1918 本の伐採計画(石垣保護 1210 本、ほか 708 本)が立てられ、2018 年度 292 本,2019 年度 313 本、2020 年度 683 本と計画に沿って伐採が進んだ。2021 年度は 630 本の伐採計画だったが、反対運動で伐採を中断し 12 月までに 390 本まで伐採したところで中止した。4 年間の伐採本数は 1678 本にのぼりました。
また、伐採が進むのと並行して「史跡明石城跡保存活用計画」が 2020 年 9 月に策定されました。2018 年 7 月~2020 年 9 月の間、6 人の委員によって 3 回の委員会を開催し、先に策定された「城と緑の基本計画」を補完する形でまとめられました。明石城の史跡の重要性が強調され、石垣の保全や城の景観を阻害する樹木の除去の必要性が改めて指摘され、石垣に影響がある樹木は伐採の対象とされました。
また、井戸前知事が明石城視察の際に、「お城の壁が全部見えるように全部木を切れ」と指示したことが、伐採を加速させたことも後に明らかになります。