明石公園のあり方を検討した議論の中では、明石公園に関わる多様な人々や団体、グループ、関係機関等の範囲や関わり方が議論になりました。いわゆる明石公園の「ステークホルダー」をどうとらえるのか?という問題です。公園は数ある公共施設の中でも最も利用者市民にかかわりの深い、経済学の用語で言えば「社会的共通資本」の典型例であり、文字通り「パブリック・パーク」です。
だが、これまではどちらかと言えば「公園利用者」としては地元の自治体や経済団体、公園を利用して行うイベントに関わる団体や事業者を「公園関係者」として管理運営協議会や協力会等のメンバーとしてきた公園が多い。明石公園では膨大な行事やイベントが行われており、これらに関わる事業者団体等と協会は日常的に連絡・協議していたが、個人やグループでさまざまな目的で公園を利用している人々や団体は、ステークホルダーとしては扱ってきませんでした。単なる「お客さん」に過ぎなかったのです。
こうしたことが今回の経緯の中で大きく見直されて、公園を利用しているこれらの人々がこれからの公園管理の中に重要な関係者として位置づけられた意味は大きい。公園を散歩やウォーキング、ジョギングで日常的に利用している人々、公園を自然観察や植物・野鳥・昆虫などの生きものとの触れ合いの場としている人々、子どもたちの安全な遊び場として大事にしている人々、写生をしたり日向ぼっこをしたり森林浴の空間として日常的に親しんでいる人も少なくありません。
こうした人々も「公園の貴重な利用者」として意見を聴いたり、人々やグループ・団体の声を管理運営に反映することの大事さも再確認されました。明石公園の管理運営に関する「合意形成」の場として当初は「談義所」として提案された「みんなのみらいミーティング」は、だれでも公園の管理運営について意見を出し、直接・間接的に関わることができる場として構想されています。提案者であり明石公園部会の部会長でもあった高田知紀氏が今後も3年程度はこの運営に関わると明言しており、この仕組みが具体的にどのような真価を発揮するかは今後の課題に持ち越されていますが、明石公園の管理運営方式をどのように実らせていくかは文字通りこのミーティングの成否に関わっています。
おそらくは、明石公園のような大規模で多面的な性格を持つ都市公園としては初めての市民参画型の仕組みが始まることになり、その成否が与えるインパクトは非常に大きく、注目されます。明石公園にこの2年余り関わってきた「つなぐ会」も含めた市民は、今後どのような役割を担っていくかという新しい課題を背負うことになります。