県は、来園者を対象にアンケートを実施した結果「8割の明石市民が樹木の伐採に賛成した」として、伐採の推進を合理化しています。しかし、このアンケートは、そういう結論に持っていくように誘導されたものです。問題点は3点あります。
問題点1 行き過ぎた伐採が問題になる前に実施
アンケートが実施されたのは、行き過ぎた伐採が問題になる前の、令和3年3月27日に、明石公園の来園者に対して行われました。
それ以降に大量の樹木の伐採が行われ、市民の間から、「いくら何でも切りすぎではないか!」という声が上がり始めたのは、その年の秋です。
問題点2 極論しか選択肢がない
質問は、「明石公園での石垣周辺などにおける樹木の伐採についてどう思われますか?」です。それに対する選択肢は、以下の2つです。
- 櫓や石垣などの史跡の景観が向上し、良かった。
- 櫓や石垣などの史跡の景観より、自然環境を重視すべきであり、樹木等の伐採をすべきではなかった。
2の選択肢は極論です。「ある程度の伐採は必要だが、自然環境も重視して、樹木を切りすぎるのはやめて欲しい」という選択肢があれば、一番賛成が多かったのではないでしょうか。
樹木を一切伐採すべきではないなどという極論は、私たちも含め誰も唱えていません。そんな極論と、「良かった」という選択肢を並べれば、「良かった」という方を選ぶ人が多くて当たり前です。
問題点3 印象操作
施工前の、石垣が樹木に隠れた写真と、施工後の石垣がよく見える写真が掲載され、その写真の印象で質問に答えるようになっています。あの写真を見れば、「櫓や石垣などの史跡の景観が向上し、良かった」という印象を持ってもおかしくはありません。
もし、あの写真の代わりに、施工前の緑豊かな東ノ丸の園路と、施工後の切り株だらけの寒々とした東ノ丸の園路の写真を並べて、その写真の印象で質問に答えるようになっていたら、全く違った結論になっていたと思われます。
「行き過ぎた伐採はやめてほしい」が大多数の市民の声
いま問題になっているのは、「行き過ぎた伐採」です。
石垣を遮る樹木の伐採には賛成という市民も多いかもしれません。しかし、景観と全く無関係で、小学生が環境学習に使っていた大切な樹木も沢山伐採されています。今後は、石垣の周りの200本の樹や、自然豊かな子どもの村の樹木の伐採などが計画されています。あのアンケートに「賛成」と答えた人も、そこまでの白紙委任を県に与えたわけではないでしょう。
たった85人の賛成で「8割の市民が賛成している」!?
問題だらけのアンケートに回答した、たった85人(回答者108人の79%)程度の「賛成」で、「樹木の伐採には、8割の市民が賛成している」とは到底言えないはずです。
コメント
「市民」という言葉、そう簡単につかってほしくありません。公園「利用者」という意味ではないのでしょう。公園の所在地、明石市に住んでいる「市民」でもないはずです。主権主体者=市民のはずです。そうであれば85人で”8割の市民”は詭弁でしかありません。主権侵害でもあります。伐採を進めている公園管理責任者(県側責任者)の市民感覚を疑います。