「明石公園の自然を次世代につなぐ会」が果たした役割と今後

明石公園の自然を次世代につなぐ会は、先に記したように「過剰伐採を中止し、公園の生態系を調査、研究、活動している県民の意見を聴き、伐採計画を見直す」ことと、将来課題として「公園全体の整備計画についてSDGsを基軸とした新しい発想に立って、現存する自然環境を生かした公園の活用」の実現をめざすことを目的として立ち上がりました。

2年半という短い期間だったが、県が計画していた伐採計画は途中で中止され、公園のあり方検討会が発足する中で、市民や広く公園利用者の意見を反映して「豊かな自然環境」の維持保全の重要性を確認し、市民や多様な人々が公園の管理運営に関わっていく仕組みが構築されようとしています。

この点では、市民運動では数少ない成功事例の一つに数えられるかもしれない。ひと握りの小さな市民の動きが大きなうねりを引き起こし、地元の自治体と公園管理者を動かして「あり方検討会明石公園部会」という諮問機関が一定の機能を果たして、市民参画を基軸とした新しい公園の管理運営の仕組みをつくり出そうとしています。この2年間で構築した新しい枠組みが、期待するような機能を発揮するかどうかは、これからの関係者の取り組みに委ねられていますが、少なくとも現時点では新しいレールが敷かれた点で、高く評価できます。

明石公園部会以降は、公園管理の在り方を求める高度な政策議論へ移行

当初の「過剰伐採の中止」を求める段階は、「“切り株公園”の惨状」を視覚的に訴え「市民感情」を行政にぶつける、いわゆる「過剰伐採反対運動」だったが、県が過剰伐採の問題点に気づき、軌道修正を図りながら「あり方検討会」という諮問機関へ舞台を移してからは、明石公園部会をステージにコトは展開しました。しかも、明石公園部会は大方の県の審議会等とは異なり「市民参画」と「合意形成」という今日的な視点を前面に出した運営が行われました。

過剰伐採から生じた県の公園管理のあり方にメスを入れ、今回のようなトラブルが生じるのを避けるための仕組みづくりを丁寧に議論するスタンスを明確にしました。先に見たように、明石公園には他の県立公園にある利用者が参加する運営協議会的な組織が存在せず、日常の公園の管理運営に地元自治体や利用者市民の意見を反映する仕組みがなかったことも背景にありました。

加えて、問題が顕在化した当初から市民だけではなく地元の市長が当事者として前面に登場し、しかも知事との対話を求めて大きくマスコミに報道されることになったことも影響しました。そんなホットな“紛争課題”の舵取りを引き受ける学識者が見当たらず、正副部会長を引き受けた二人の若手研究者の人選も功を奏しました。部会審議の中に「公開ヒアリング」や「市民ワークショップ」の手法を多く取り入れて市民参画の実を挙げていきました。

また、つなぐ会から審議のあり方に対して異論を提起した際には部会長が市民との意見交換や懇談に積極的に応じて、意思疎通を図ることもありました。つなぐ会が県幹部職員の「暴言」に抗議し、市民と県とのトラブルが生じた際にも、自ら仲介役を買って出て関係修復に一役買ったことも新鮮でした。

こうした対応は、どちらかといえば諮問機関は“行政の隠れ蓑”的な存在として市民に背を向けがちな学識者が多い中で、自ら“火中の栗”を拾う役割を果たすことが「合意形成」に不可欠であることを熟知した新しいタイプの専門家の登場とも言えます。それだけに部会の議論も「今後の公園管理の在り方はどうあるべきか」という仕組みづくりに焦点が絞られる中で、未だこうした政策論議を行政と市民が平場の意見でまとめ上げていくという「政策論議」に場慣れしていないことも、審議の中では垣間見えました。

市民も行政も、ともにそうした新しい「市民参画型の政策形成」に関わっていく課題を今回の経緯の中から学び取っていきたいものです。

2023年9月につなぐ会が提出した「意見書」の役割と評価について

こうした経緯の中でつなぐ会が2023年9月に提出した意見書が果たした役割と評価についても、簡単に触れておきます。

意見書は8月30日に開催された第11回明石公園部会に県から提示された「今後の方針」に関わる資料について、幾つかの懸念を感じたつなぐ会が慎重な審議を求めて部会長に同9月25日提出したものでした。「合意形成のプロセスができていない段階で樹木管理の方針を打ち出す順序」や「明石公園の持つ3つの特質に関する合意の尊重」「景観形成と眺望に関する議論で、自然豊かな緑の景観への視点が弱い」「残すべき樹木等の保全指定の検討」「樹木や緑の持つ多様な価値の尊重や育てる視点」など8点についてつなぐ会で議論した要点を伝え、今後の審議に反映するように求めたものでした。

意見書は県公園緑地課の事務局へも送り、次回の部会で俎上に上げるように求めたところ、部会長から懇談の申し入れがあり、つなぐ会メンバーとの意見交換の場を持ちました。

提出した意見書の一つひとつについてメンバーと部会長との間で意見を交換し、突っ込んだ意見交換を行いました。この懇談の中で、つなぐ会からの提言の趣旨が理解され、同時にまだ当該の部会の議事録が公表されていない段階だったこともあり、部会議論の全容に対する一部誤解がつなぐ会側にもあったことについても、意思疎通を図ることができました。

意見書は結果的に、部会の俎上に上げられることはなかったが、趣旨を理解した部会長がその後の部会審議の方向の中で反映されたことをつなぐ会も確認し、この意見書の提出と部会長との意見交換の成果を理解して、つなぐ会が抱いた危惧のかなりが解消したことも後日確認し、こうした経過の意義を評価できました。

こうしたプロセスに深くコミットすることで、部会審議に関わるステークホルダーとしてのつなぐ会の役割も果たせたのではないかと考えます。

あり方検討会終了後のつなぐ会の役割と活動継続の可否について

あり方検討会の明石公園部会は12月末の第14回会議で一応終結し、年度内のとりまとめと全体会への報告を経て2年間の役割を終える方向になっています。3月20日には部会主催による「シンポジウム」が開かれて、部会審議結果に関する市民への報告会とする予定になっています。

では、つなぐ会の活動は今後どうするのか? この「総括」のとりまとめを行なう議論の中では、「つなぐ会がめざした当初の目標は一定の成果を得て、当初めざした役割はほぼ達成した。これから始まる新しい明石公園の管理運営に関わる団体としては、構成メンバー自体が必ずしもそれにふさわしいものではなく、団体として明石公園の具体的な運営管理に対応するのは難しい」という意見が大勢を占めました。もちろん、メンバーの個々人がそれぞれの立場から関わっていくことは重要であり「団体としての関わりが必要なら、新たな団体やグループを立ち上げることがふさわしい」という方向で一致しています。

明石公園問題は新年度から「新しいステージ」に入ります。これを機会に市民の関わり方も「新しい酒は新しい革袋で対応」することがふさわしいということになります。

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